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授業追放事件(完結編)

MBA

このシリーズもこれで最後である。突然授業の追放を言い渡されて教授とミーティングを持った自分(前編)。ミーティングでは教授は更に怒りをあらわにし、私を激しく攻撃したのだった(後編)。

今回は、この事件の全体像について書き記してみたい。なお、前回2回は事実をなるべく客観的に書いたのに対し、今回はかなり主観的であることを予め断っておく。

教授のキャラクター

まず、教授はどういう人なのかについて整理しておきたい。彼は、中国で生まれその後アメリカで博士号をとったあと、金融業界(バイサイド)に飛び込み、それなりの実績を積み重ねてきた。独自の投資理論を構築しており、最近ではそれを元にコンサルティング活動を行なっているそうだ。

この教授は、自分の投資テクニックにとても自信を持っており、その虎の子の、超貴重なテクニックを渋々授業で公開している、というスタンスをとっている。そのため、授業の資料は配布されず、PCでメモを取ることも許されず、もちろん、スクリーンをiPhoneのカメラで撮影する、というのもNGだ。唯一許されているのは、ノートに手書きでメモすることだけである。授業で用いるPPTにはパスワードをかけて管理しており、また、授業の内容を公開しないように学生に注意している。また、授業中も「今教えているのはどこの教科書にも乗っていない、本当に貴重なものである」というのを何度も繰り返して述べ、「授業料はコンサルティングフィーに比べ低価格のため、安い料金で高価な内容を教えている」とも言っている。これらの行動、発言からその自信のほどがうかがえると思う。

教授が私を追放しようとした理由

推察であるが、一言でいえば、私が教授のプライドを傷つけたことが最大の原因だと思う。自分の質問は、教授のフレームワークや投資テクニックの正当性、論理的な裏付けを問うものであり、もし、彼の言っていることを100%信じるというスタンスを取るのであれば、発生することのないものである。

繰り返しになるが、教授は授業で公開しているテクニックに相当な自信を持っており、それに疑問を挟むということは、彼にとってはプライドを傷つけられたと感じることなんだろうと思う。平たくいえば、せっかく、(いやいやながらも)授業料以上(と彼が考える)のとっておきの投資テクニックを披露しているのに、お前のその態度はどういうことか、身をわきまえよ、ということである。

そういう自負から、テクニックの正当性や論理的な裏付けについて質問というのは、”答える意味が無い"もしくは"愚か者の質問”となるのではないだろうか。更にそういう質問をする人は「理解できない」のである。

教授はなぜミーティングで激怒したのか

彼はミーティングの最中にこう述べている。「今日だって、君は全く私の期待とは異なった。このミーティングも10分ぐらいで終わると思っていたが、始まったとたんに無理だと思った。君のトーンで不愉快になった」。また、あわせて「君は視野が狭い」とも言っている。

後で気づいたのだが、教授がミーティングで期待していたのは、「structureなクラスとは何か?」というような質問ではなく、謝罪だったのだ。彼は、私がオフィスを訪れ、速やかにそれまでの無礼を謝罪し、今後もクラスに残して欲しい、と嘆願することを期待していたのだ。そうすれば、確かにミーティングは10分程度のものとなったであろう。

しかし現実には、私はなおも、杓子定規に「structureなクラスに慣れすぎているから、このクラスにはfitしない」ということの意味を読み解こうとしていた。しかも、謝罪するようなそぶりは全くない。これが、教授をして「君は視野が狭い」と言わしめた理由である。ミーティングの意味に気づかず、更に質問を重ねる自分に、教授はどんどんヒートアップし、非情な言葉を浴びせ続けたのだ。

予想だが、仲介者は、教授とのミーティングをセットアップした時に、おそらくこう切り出したのだろう。「morikenは授業に残りたいし、そのことで教授に謝りたいと言っている。どうにかそのことを伝える機会を与えてやってくれないか」。言い換えれば、仲介者なりの優しさで、私がすんなりクラスに戻れるように道筋を作ってくれていたのである。

結局どうなったか

ミーティングの後、代替授業の候補をメールで送った。ただし、その時に、「あなたは私というエイリアンをクラスに留めることでユニークな経験ができるかもしれないし、自分も教授から色々学ぶことができる(ここは建前)。それに、私は仲介者の面子を潰したくない(これが本心)。なのでクラスに残してもらえないか。ただし、移ることができない場合にクラスに残るという約束を既にしていて、それは尊重するので教授がどう判断しても、その決断に対して決して苦情をいいません」というメールを送った。

その後もすったもんだ*1があったんだけど、結局クラスに留まることになった*2。とはいえ、正直、後味悪すぎである。教授が授業で公開するテクニックはおそらく貴重なものなんだろうと思う(正直なところ自分はもはやそれを判断できないが)が、一方で、本音でいえば、教授に対しては失望してしまっている。

教授は自身のことをオープンマインドで、どんな質問でも受け付けると言っていたが、私には、どうしてもそうとは思えない。言っていることとやっていること(もしくは、自分がやっていると信じていることと、実際に自分がやっていること)が違うように見える。更にいえば、何度も言われた「視野が狭い」は、アジアカルチャー知ってるなら空気読めよと言われているような気がして、居心地が良くない。

そうしたことから、おそらく、今後は波風立てず、質問は適当な当たり障りのないものに限り、授業終了までおとなしくしていることと思う。今回の事は学生だからといって、授業中に本当に思ったとおりの質問をすると、本気で怒る教授も(極稀に)いるんだ、というのを知るよい教訓となった。

終わりに

今回の一件は、自分の社会人としての未熟さも感じることにも繋がった。もし、これが、会社でのやりとりであれば、おそらくミーティングでは普通に謝罪していたと思う。一方で、ここは大学で、MBAで、授業料を払っているのはこっちだ、というおごりがあったことは事実である。大学も会社も同じ社会の構成要素であることを加味すれば、社会通念に照らして、自分の行動に未熟な点があったことは反省すべきである。特に、仲介者が用意してくれた機会の意図を読み取れず、結果的にミーティングの場で期待された動きができなかったことは申し訳なかったと思っている(彼の面子を潰したことになる)。

ちなみにだが、この仲介者というのは、最年長クラスメートで、某大企業で役員のほんのちょっと手前のポジションにいた人である。一部の学生の兄貴分といってもよく、今まで本当によくしてくれている。今回の事も、教授との面談の直後に時間を作って自分の話を聞いてくれたりしている。いつかは恩返したい。

あと、内容が内容なので、このシリーズは期間限定公開とし、どこかのタイミングで見えないようにする予定である。ご意見、ご感想があれば、是非お知らせいただきたい。特に完結編はかなり主観的であるので、これ以外のも解釈はあるかもしれないし、自分も気づいていない無礼さがまだまだあるのかもしれない。


(終わり)

*1:"I could ask "教授名" to get you in though. I know her well enough."という返事を受け取って、自分はこの英文を「君を別のクラスを移動させるつもり」と誤解した

*2:ちなみに、それを確認したメールでは、「君は今までの社会人経験でコミュニケーションを必要としてこなかったのかもしれないが、わざわざMBAに来たんだから、ちょっとはそれを改善した方がいいんじゃないか」と更に指摘を受けた