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授業追放事件(後編)

とある授業である質問をきっかけに突然クラスから去るように言い渡された自分。グループメートの仲介もあり、教授と直接話をすることになった(前編のあらすじ)。

ミーティング

時間の指定は夜だった。それまでの間、改めてシラバスを読み、structureではないクラスとは何か探った。シラバスにはこう書いてあった。「構造化されたクラスとは、教科書を用い、あるメカニズムを教え、それを記憶・反復することで特定の問題を解けるようになるのを目的としたもの」 一方で、「このクラスでは始めに、全体を理解するためのフレームワークを教える。それは全ての基礎で、これを使ってグローバルマクロ経済の理解を試みる」とも記載されていた。

手元のノートに「structureなクラスとは? クラスで扱うフレームワークについてその理論的裏付けを質問=structureなクラスを期待?」というようなことを疑問点としてメモしておいた。

教授の部屋はちょっと奥まったところに位置していた。扉をノックして部屋に入る。ひところ世間話をした後に本題に移った。

教授:「それで、何かいいたいことは?」
自分:「(手元のノートを広げて)構造化したクラスというのはどういうものか聞いてもいいですか?」
教授:「そんなのシラバスに明確に書いてあるだろう」
自分:「教科書を使わない….と」
教授:「特定のメカニズムを….教科書には乗ってない理論を扱って…私は既に教科書に乗ってない多くの事を教えた。それらは非常に有益なものなのだ...」
自分:「わかりました。シラバスには一方でフレームワークを扱うと書いてあります。このフレームワークの成り立ち、背後にあるものを質問するのは許されないのでしょうか?」
教授:「許されないことはない。ただ、その質問は "答える意味がない"もしくは"質問者が愚か(silly)"のどちらかだ」
教授:「私はOpen mindで、誰からのチャレンジも質問も、常に大歓迎の人間だ」
教授:「君がなぜその手の質問を繰り返しするのか全く理解できない」
教授:「で、結局、君の質問は何なのか?」
自分:「最初の質問は、教授が足りないとした、"あるもの"を生み出すものが何か、ということです」
教授:「それは、口頭でも、メールでも答えただろう。中国ではそれを作り出すのに失敗した、通貨操作をやった。何で何度もこれを聞くんだ?」
自分:「すみません。最初、口頭で聞いた時にその答えをもらいました。その後、メールで質問が正しく伝えられていたか確認したとき、教授は、それは授業後の質問と全く違う、と言いました。ですから、あらためてメールでオフィスアワーをお願いしました。今は、質問は何か、と聞かれたので、改めてその質問を聞きました」
教授:「君はちょっと視野が狭すぎるんじゃないか?」
教授:「目の前のホントに小さな点に集中しすぎていて、柔軟性がない」
教授:「また、そういう質問については、"答える意味がない"もしくは"質問者が愚か(silly)"のどちらかだと言っている」

・・・教授無双が続く・・・

教授:「で、なんで、グラフを導く式の特定の項に注目した理由が知りたいのか?」
自分:「教授はあるものが足りないのが問題の根源と言いました。また、この式を構成する4つの項も全て、そのあるものに関係しているとも言いました。4つあるうちの1つに注目してグラフを導きましたが、その他の3つはどうして無視したのか知りたいからです」
教授:「なんでそんなことを毎回毎回説明しなければならないんだ」
教授:「それは全く授業には関係の無い質問だ。私はそんな質問が出てくる理由がサッパリ分からない」
自分:「あるものは4つ全てに関係しているのに、1つだけに注目した場合、他がどうなのか、というのは自然な疑問だと思うのです」
教授:「そんな無関係な質問を繰り返し聞かれて、私は不愉快だ(uncomfortable)。君をクラスにとどめて置くのは、正直いって本当に苦痛である」
自分:「すみません。自分は関係があると思ったのですが、教授が関係無いというのであれば、自分は質問がクラスと関係があるかどうか正しく判断できないようです」
教授:「君は本当に視野が狭い」

・・・また教授はヒートアップ。話は別の方向へ・・・

教授:「だいたいオフィスアワーが利用可能か(Is office hour available?)、とはどういうことか。シラバスに書いてあるし、授業の最初に言っただろう」
自分:「すみません….。もちろんシラバスにあり利用可能なのは承知していたのですが、丁寧にアポイントを取るのを意図していました」
教授:「君の表現は全くそうはなっていない。正直、これを見た時フラストレーションが溜まったよ。まるで私が、学生を遠ざけていて、それを非難されているように感じた」
自分:「私の英語力のせいで、すみません。そういう事を意図したつもりはないです。誤解を生んでいたらすみません。」
自分:「しかし、一方で、シラバスからはオフィス・アワーの正確な日時は読み取れません。それを直接指摘するのは失礼かと思いまして...空いてる時間を丁寧に聞いたつもりだったのです*1
教授:「なにいってんだ?これはPlain Englishだぞ。お前はこんなのも理解できないのか?文法の本とか読み直したらどうなんだ?なんでそんな簡単なことが読み取れないんだ」
自分:「すみません…」
教授:「だいたい、授業でも何度もオフィス・アワーの事は説明したじゃないか*2!!」
自分:「ですが、教授は本当にこの文章から毎週土曜の午後、というのが読み取れるんですか?」
教授:「はぁぁ?? 当たり前だろう!!!! (ここがこのミーティングで最も怒っていたと思う)」

と、シラバスの文に目を落とすと、そこには「Office hours: pm in room XXXX or by appointment」と書いてある。即座に教授の表情が変わり「Typoがある。君の言いたいことは分かった。これは直して、クラスに告知する。」とのこと。

・・・しかし、その後も教授の話は続く・・・

教授:「君の職業は何か?」
自分:「システムエンジニアです」
教授:「はー、エンジニアね。じゃあ聞くけど、君、素人に、君のやっていることはエンジニアリングなの?と聞かれていい気持ちになるか?」
自分:「ならないと思います」
教授:「君の質問というのは、まさにこういうことなんだ」
自分:「すみません」
自分:「でも、もしその例えでいうなら、私が後輩エンジニアに何か仕事を教えた時に、なぜそういうやり方なのか?という質問を受ければ、今回私が教授にしている質問と等価だと思います」
教授:「君は視野が狭い」

・・・

教授:「君とのコミュニケーションの可能性を探ったが無理だ。クラスから立ち去ってほしい」
教授:「更に言って君の態度、トーンはとても失礼(rude)で、私を不愉快にする」
教授:「今日だって、君は全く私の期待とは異なった。このミーティングも10分ぐらいで終わると思っていたが、始まったとたんに無理だと思った。君のトーンで不愉快になった」
教授:「とにかく、君をクラスから追放したい」
自分:「わかりました。しかし、何度も言っていますが、この単位が取れないと、卒業に関して、非常に困ったことになります」
自分:「私はどうやら質問がクラスに関係あるかどうか判断できませんから、今後二度と質問はしません。約束します。なので、クラスに残ることを許可してもらえませんか?」
教授:「いや、それは無理だ」
教授:「なぜ替わりのクラスを探さない?昨日メールで既にDropすべきだと伝えているはずだ」
自分:「もう、そういう期間は過ぎており、システム的に無理だと思います。」
教授:「じゃあ、こういうのはどうだろう。私がMBAO及び代替クラスの教授に掛け合って君を移そう」
自分:「はい。では、もし、移れない場合は、このクラスで単位を習得できますか?」
教授:「・・・」
教授:「君に質問させないというのは、それはそれで、私の心が苦しいので、難しい」
教授:「・・・」
教授:「条件を設けたい…(細かい受講の条件の提示)。もし移れない場合はこの条件を約束するならクラスに留まってよい」
自分:「わかりました」
教授:「じゃあ、今夜中に替わりの授業を探して、その教授の連絡先含めて知らせるように」
自分:「はい」

・・・話が一応の合意を持ってまとまる・・・

自分:「最後に1点質問してもよいでしょうか」
教授:「OKだ」
自分:「私は教授への尊敬を欠いていると感じますか?」
教授:「君は仲介者を知っているはずだ。私は彼を信頼しているし、お互いよい関係を築いている」
教授:「今回の事があって、私は彼に連絡した。彼は2年生だし*3、君のチームメイトだったからだ」
教授:「彼は非常にできた人間だ。私は彼とのコミュニケーションでそれを確信している」
教授:「君も彼から大いに学ぶことがあるはずだ」
自分:「今日はお時間を頂戴してありがとうございました」


主要なところをピックアップしたが、実際には教授の発言は自分の3倍ぐらいあった。とはいえ、教授の発言は妨げないように注意し、興奮せずに、冷静な状態で受け答えするように心がけた(この点については及第点だと思う)。一方、こうしてみると、色々と反論もしている事に気づく。ちなみに、ミーティングは90分間も続いた。


さて、このミーティングでのやりとりで、授業追放事件の全体像が見えてきただろうか?教授はなぜ自分を追放したかったのか。なぜ「silly, rude, I don't understand you, plain English」などの言葉を何度も使って自分を攻撃してきたのか。次回はこの辺りのBig Pictureを(主観であるが)解説して、その後どうなったのかをお伝えしたい。


(完結編に続く)

*1:教授は学外で投資コンサルティングもやっており、学内にいないことを暗示していた。そのため、いつ利用可能か本当に知りたかった

*2:実際は初回の時に1回だけ言っていた

*3:自分も2年生である