授業追放事件(前編)

教授:「君とのコミュニケーションの可能性を探ったが無理だ。クラスから立ち去ってほしい」
教授:「更に言って君の態度、トーンはとても失礼(rude)で、私を不愉快にする」

ある日の夜、香港のとある大学、とある部屋で呼び出しを受けこんな事をいわれたMBA学生がいる。そう、自分である。今回から(たぶん)数回にわたって、この「授業追放事件」について書き記していきたい。

事の発端

最初のキッカケは授業中の質問に遡る。投資理論を教えるクラスである。授業の冒頭に教授が、マクロ経済に関係するある数式を示し、これはとても大事なものであると述べた。そこで、自分は「なぜそれらが大事だと考えるのか?」という質問をした。教授は「様々な文献を読み、経験を積んで、あらゆる要素を凝縮した結果これにたどり着いた」と答えた。今思えば、この質問から、教授は既に自分に対して苛立ちを覚えていたのだ。

その日の授業後、更に授業内容について質問した。教授曰く、グローバル・エコノミーの一番の問題は、あるもの*1が不足しているのが理由である。自分は、「そのある物を生み出すものは何か?なぜ、いくつかの国ではそれを生み出せて、それ以外の国ではそれを生み出すことができないのか?」ということを聞いた。彼の答えは「中国はそれを生み出そうとして失敗し、通貨の価値を操作したりして穴埋めしようとした。他は後の授業で取り扱う」というものだった。

私の質問は「それを生み出すものは何か?」。教授の答えは「中国はそれに失敗、通貨の価値操作をやった」。自分としては、これは答えになっていないと感じた。なぜなら、彼の答えは、「あるものが不足している」というのを単純に言い換えただけに思えたからだ。

メールでの確認

教授が期待した答えをしなかったのは、自分の口頭の質問の仕方に問題があるのではないか、という考えが頭をよぎった。そこで、改めて、メールを送ってみた。曰く「先日の質問はこれです。もし、私が質問を正しく伝えているのに失敗していたら、もう一度質問するチャンスをください。オフィスアワーは利用可能ですか?(Is office hour available?) そうではなく、正しく伝わっていて、将来の授業でこれらに触れるのでしたら結構ですので、その旨お伝えください」

程なく教授から返信があった。「君の質問はクラスの質問とは明らかに違う。もっと質問の仕方を工夫するように。」「で、質問の答えだが、中国はそれを作るのに失敗して、通貨を操作することで埋め合わせしようとした」「オフィスアワーについてはシラバスに書いてあるんだからそれを見て欲しい」という内容だった。

質問の回答はまたしても同じだったが、オフィス訪問の許可が得られたようなので、直接あって話をすれば解決できると思った。「○月○日のXX、もしくは○月×日のXXにオフィスを訪れたい」「私は教授は具体的な投資テクニックではなく、その投資テクニックを導く基礎を教えていると信じており、そのためにはこれを理解しておきたいのです」と書いて返信した。

そうしたところ、「君はこのクラスには合っていないように思う。私は、非常に具体的な投資テクニックを教えている。構造化されたクラス(structure)を期待しないように、というのは散々言ったハズである。君は構造化されてクラスに慣れすぎていて、このクラスには合わない。今すぐMBAOにこのクラスをDropする旨連絡して、彼らには私の許可を貰うように伝えてくれ」という返事がきた。

仲介者の登場

正直、いきなりクラスから出てけと言われて動揺した。あわてて、「この時点でクラスをドロップするのは卒業に関わるので非常に困る」「たしかにシラバスには、不透明な中で意思決定が必要(つねに理論の裏付けがあるわけではない、と解釈)と書いてありますが、それは、例えば、教授が授業で使ったグラフについて、数式の特定部分のみに注目してプロットした理由についても質問する、というのを妨げるものなのでしょうか?(ちなみにオフィスアワーでは関連してこれも質問したかった)」と送った。

すると10分後、手元のiPhoneが鳴った。驚いたことに、電話主はグループメートだった。

仲介者:「moriken、君とXX教授に何があったんだい? 教授が自分に電話をかけてきたよ」
自分 :「質問をしただけ、、のつもりなんだけど」
仲介者:「何の質問をしたの?」
自分 :「例の不足していると言われている”あるもの”を生み出すものは何かって」
仲介者:「どうやら何か誤解が生じているようだ。morikenと教授は対面で会ったほうがいい。ミーティングをセットアップするから、それに行ってほしい」

その後教授から「明日の夜にオフィスに来るように。お互い誤解しているようだし、君が授業について理解していない、不明な点があればそれを解決しよう」というメールが来たのだった。


いきなりの追放宣言、そしてグループメートからの電話。私はちょっと混乱していた。

(続く)

*1:授業の内容をディスクローズしないように厳重に注意をうけているので、ここではそれをぼやかすことを了承いただきたい