ビジネススクールにはどういう目的で人が集まるのか?

今日は、B-Schoolというところには、どういう目的で学生が集まっているか、ということについて紹介してみたいと思う。ちなみに有名ブロガーのちきりん氏も英語学習についてのエントリで書いていたが「視野を広げたい」「ビジネスレベルで英語が使えるようになりたい」というようなあまちゃんな理由*1を堂々と言えるような面の皮が厚いMBA学生は日本人(というか、自分…。)ぐらいな気がする*2

ということで、周りを見渡してみたところだと、大体の場合、下記の3カテゴリに目的が集約されるような感がする。完全にどこか一箇所のカテゴリに属する人もいるし、左足を就職予備校、右足を地域への興味、といった具合の人もいる。

就職予備校としてのMBA

就職予備校というのは王道のMBAの使い方だ。大学卒業後に数年勤務し、キャリアアップ、キャリアチェンジを目的にMBAを受験し、1年以上の時間をかけて次の就職先を探す、というやり方だ。在学中はキャリアに空白が生まれることもないし、MBAを持っている事がその後の待遇を悪くする、ということは一般的にはあまりない。

彼らは往々にして、監査法人や金融機関、コンサル勤務だったりして、MBAで学ぶ科目については、既に知っていることも多かったりする。そんなこともあり、このグループの最優先の目的はより良い、平たく言えば、より給料の高い就職先を見つけることである。結果として、例えば授業のグループワークと就職イベントが重なると有無をいわさず後者が優先となる。

一方で、このグループの成績は悪くない。スクールによっては、成績を就職活動時に企業に対して開示しないというルールのところもあるようだが、HKUSTの場合はそれを採用していないので(ちなみに採用するかしないかは毎年学生の投票で決められる)、彼らにとっても良い成績を取ることは色々な意味で重要である(就職そのものもそうだし、それに関連する交換留学先の選定にも影響する)。また、好成績にはもともとのビジネスバックグラウンドも味方しているかもしれない。

特定地域に興味がある

欧米のビジネススクールについてはよく分からないが、ここ香港では欧米人を中心に一定の割合でこのカテゴリに属する人がいる。理由は人それぞれだが、アジアや中国に興味を持っていて、それを体現する手段としてその地域に留学するというものである。前述のとおりMBA在学はキャリアの空白を生まないため、比較的敷居の低い手段といえる。

彼らは、アジアの文化に触れたり旅行したりということに力点を置くことが多い。一方で、授業にもそこそこ力を入れていて、就職活動もやり、ある意味最もバランスがとれた学生生活を送っているグループと言えるかもしれない。

また、このクラスタの人は、マンダリンを話す人も結構な割合でいる。青い瞳をしていながら、スラスラと中国語を話す姿を見ると、色々と考えさせられるものである。

ビジネスを学ぶ

意外と思われるかもしれないが、純粋にビジネスを学びたい、という目的を持つのは最も少数派のグループである。この場合、優先度としては、就職でもなくキャリアチェンジでもなく、授業が最上位となる。

このグループに属するためには、金銭的に余裕があり、就職の心配をする必要がない、というちょっと普通では想像できない条件を満たす必要がある。となると、実質的には社費である人たちで、一部のコンサル、もしくは日本人、韓国人である場合が多い。

一応学業第一なんだけれど、みんな、色々と事情があるようで、授業の上に「遊び」を優先させて、これが最後のチャンスと言わんばかりに遊びまくるという人もいる*3。派遣元の会社としては、将来のビジネス拡大を見てネットワークの拡大を期待していたりする場合も多いので、あながちそれが間違っているとも言い難い事情もある。

(番外編)日本人の傾向

最後に、日本人のMBA傾向について思うところを少し記しておきたい。

残念なニュースをお伝えすると、主に語学の問題から、日本人が現地の会社で職を探すことは非常に難しいと言われている。もちろん、そういう困難を乗り越えて留学先で仕事をゲットしている凄い方もいるので、全員ではないのだけれど、傾向としては難しいというのは事実である。

しかし、日本人には他国の学生には無い、奥の手がある。つまり、日系企業である。世界で有数の経済を誇る日本。そして往々にして日系企業は、海外にあって言語バリアによってがっちりと鎖国しているため、留学している日本人にっとては非常に魅力的なオプションとなるのだ*4。このバリアは、例えばヨーロッパの学生なんかに比べても強いようにと思う。

中には、日本人であるとか、日本語がネイティブである、ということを利用したような活動に引け目を感じる人もいるが、個人的には、そんな必要は全く無いと思う。むしろ、こんなに恵まれた贈り物・アドバンテージがあるのに、それを使わないというのはビジネススクールで何を学んだんだろう、とさえ思う。もちろん、自分の目的に沿って日本語を使わない企業にあえて就職する、というのは素晴らしいことであるが、一方で、ポイントは、日本語を武器に使うことは全く恥ずかしいことではない、と個人的には思っている。

ちょっと脱線したが、上述のような事情から、日本人のMBAに対する期待は、実利的なところよりも、むしろ、概念的なところ、外国文化の理解、ネットワーキング、国際経験といったところに重点が置かれがちであるように思う。そういう観点からは、日本という国に生まれた事は個人的には非常にラッキーな事だなーと思う*5

*1:例えば中国人にとって英語は、よりよい生活を送るため、家族を養うため、サバイバルするための必需品

*2:なお、PTでは事情は全く異なる

*3:ちなみに自分はそういうタイプではない

*4:日本語が必要という理由から、便宜上、MNCの日本ブランチもこのくくりに入れてよいと思う

*5:英語が苦手なのは泣きそうだけど