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香港MBA学生から見る尖閣諸島問題

雑記 香港 MBA

香港というのはとても便利な土地で、西側の帽子を被ったり、中国の帽子を被ったり、TPOに合わせて、色々と顔を使い分けることができる。

実際、テレビを見てもCCTV*1が流れてる一方で香港独自の放送局もある。新聞にしても本土の新聞の他、欧米の新聞も幅広く読むことができる。

今回は、そんな、中国であって、中国とは言い難い香港から、例の島に伴って発生した一連の出来事について、ちょっと書いてみようと思う。

はじめに

まず、一連の出来事で被害にあわれた方には心からお見舞い申しあげます。当事者でもない自分が勝手な思いを書き綴ることを容赦いただきたい。

日系企業の中国熱は冷めるのか?

例の事件の後、TOYOTAが工場を閉鎖した、というニュースは記憶に新しい。一部では、前から工場閉鎖を画策しており、このタイミングを利用した、という憶測も流れているが、まぁ、いずれにしても、この件で中国への見方が変わっているのは確かだと思う。

とはいえ、やはり、中国のマーケット(サイズ及び成長率)を考えると、そう簡単にはビジネスが縮小する方向になるとは考えにくい気がする。短期的には、投資は縮小傾向かもしれないが、長期的に見ればそれは戻ってくるように思われる。

欧米企業は今回の事件で中国戦略の舵を切り直すか?

それでは欧米企業は今回の件をどう見ているのだろうか。あの光景を目の当たりにして、カントリーリスクの高まりを感じているのだろうか。それとも日本企業に固有の問題だと割り切っているのだろうか。

この件について、とある中国関係の授業を担当する教授に意見を求めてみた。ちなみに教授は誰もがしる巨大多国籍企業の中国オフィスでCEOだった人物である。

彼の答えは、今回の出来事は決して日本企業に限った話ではない、と前置きしつつも、マルチナショナルのトップマネジメントには投資判断を変更するほどの出来事には写っていないのではないか、ということだった。

外資として中国進出を考える場合、カントリーリスクとしては、減速が叫ばれている経済成長率、汚職、格差の拡大etc…といった様々なものを想定する必要があり、今回の事件もその中の一つに過ぎないとの見方だった。一方で、中国市場のポテンシャルは外資にとってもまだまだ十分に魅力的で、このステージで手仕舞いということは考えにくいとのことだ。

とはいえ日本人には(もちろん中国人にとっても)当分苦労は絶えない

件の騒動の中、日本人の知り合いはみなメインランドへの渡航を自粛していた。仕事が停止してしまっていたのだ(騒動後1週間ほどで一応通常体制に戻っていた)。また、ビザの発給だとか、税関検査だとかといった、中々表には現れないところで、まだまだ苦労は続きそうである。

また、残念ながら、民間レベルでも、例えば旅行で行きにくい地域が増えてしまったのは事実だ。身近なところでは、安全であるここ香港でも「Save Japan」と書かれたTシャツ(ユニクロで売られていた3.11のチャリティの品)を来て街に出る気にはなれない。

個人的には、根源にある歴史問題については、その教育システム、環境(地域コミュニティ)を考えると、どんなに教養のある相手であったとしても、お互い分かり合えることはほぼ不可能だと思っている。

それは誰が悪いわけでもなく、現実としてそうなのであり、根源から分かり合えないと本当の付き合いができないか、というと、そんなことも無いと信じたい*2

ただ、今回の件が、自分たちの階層だったとしても、関係性に影響を与えているのは間違いない。テレビでそういうニュースや討論が流れている中、飲茶(Dim Sum)というのもそんなに居心地の良いものではない。

自分にできることは限られているけど、身近にいる香港人・中国人とより深い関係を築くことで、小さな小さな抑止力を増やしていければと思う。


関連エントリ:"君の思いが誰かに届く"

*1:中国の国営放送

*2:逆説的だが、そういう議論を出来るほどの仲というのは相当深い関係といって良いと思う