エンジニアがビジネススクールで宇宙語にたじろがない方法

ビジネススクールという場所では、日常的に次のような会話がなされている。

マクロ経済の授業にて

教授「ホットマネーが中国に流入して云々」
学生「その正体は?」
教授「ヘッジファンドやプロップトレーダーとか・・・」

教授「というわけでFedはFFRを調整してて、それには国債のイールドカーブが、、、」
学生「中国が国債を?」
教授「イールドカーブの逆転の原因は色々提唱されていて...」

あるMBA学生同士の会話の一コマ

自分「上海で金融の就職ってどんな感じ?」
友人「セルサイドの仕事はあんまりないけど、バイサイドならー」

ファイナンスの授業にて

教授「アナリストとIPOを引き受ける部所が同じ組織にいるのは問題」
自分「投資銀行の中でアナリストの業績評価ってどうやるの?」
教授「あー、いい質問だね、それは、、、」


これらはマクロ経済とか、金融機関の仕組みについての会話なんだけど、日常語で置き換えれば「腹減った」「マックに行こう」ぐらいの感覚のものだ。正直いって、自分も授業を受けたり調べたりする前は「???」で、ある意味では宇宙語に囲まれた非常にスリリングな日々を送っていた*1

ただ、実際問題として、ビジネス・スクールというところでは、学生は金融とかマクロ経済、会計については、FTやWSJなどの新聞を読んで(何となく)言っていることがわかる、というようなレベルであることが最低限期待されていたりする。

今回は、そんな自分の経験を踏まえ、これらを効率的に予習できる参考書を2冊ほど紹介したいと思う。両方とも有名サイト、金融日記の筆者による著作である。彼は理系の博士という経歴だそうで、論理展開がとても明快である。ある事象に対して、その理由を背景から論理立てて、しかも柔らかい文章で説明しているのが特徴で、同じ理系の人間には非常に読みやすい。


まずはこれ、最近出版された本。

金融機関の組織構造とか、ビジネスの概要、彼らの報酬体系について解説している。マクロや、エレクティブのファイナンスの授業(つまりやや実務よりのトピックを扱うクラス)で役立つのはもちろんのこと、クラスメートとの円滑なコミュニケーションのために、MBAに行くことになったらなるはやで読んでおくことをオススメしたい。

繰り返しになるんだけど、残念なことに、ビジネススクールの学生とエンジニアでは言語が違い過ぎて全く話が咬み合わないことがしばしばだ。一般的に、MBAの学生がエンジニアの言葉を習得する可能性はゼロであるので、ビジネススクールに来てみんなと共通言語で会話しようと思えば、エンジニアでも、そちらの言葉を理解する必要がある。


もう一冊はマクロ経済の本。

実際のマクロ経済の授業では、これよりややアカデミックな話題(IS-LMとか)や幅広いトピックをもう少し深めに扱う。ただ、前提としてこの本を読んでおけば(その気になれば2〜3時間で読破できる)、随分と高い視点から授業に参加できるに違いない。また、FTやThe Economistなどを読んでそれらしい事をいいたい場合にも、この本の知識はかなり役立つ。つまりビジネススクール内でのサバイバルレベルがあがると思っていい。

もちろん、マンキューとかクルーグマンの教科書にあたって勉強する、というのも一つの手ではあるのだけれど、自分の感覚で言えば、それは日本人がJavaEEの英語版Java docをダウンロードしてAから順番に読んで、銀行のシステムを実装する、ぐらいの快挙だと思う*2


(関連エントリ)エンジニアのためのMBA参考書

*1:恥を晒すと、投資銀行のことを投資信託を作っている銀行だと信じていた...。

*2:とはいったものの、それらの教科書はまともに開いたことすらないので、話5%ぐらいで聞いてもらいたい