厦門滞在記

香港国際空港から飛行機で1時間あまり、常夏の楽園アモイ(厦門、Xiamen)は中国と台湾の国境沿い、中国側にある。


街の雰囲気は、南国のイメージにぴったりで、何か、どこか、おおらかな、のんびりしたような感じである。香港の騒がしい、忙しない風景とはかなり異なる。北海道のように道が太く、中央分離帯には南国のヤシの木が茂っている。街の端には海岸線が広がり、シーフードが美味しい。



上海や北京(といっても、訪れたのは2年ぐらい前だけど)とは結構違う印象。なんというか、いわゆる中国的なカオス具合が観察できず、むしろ秩序がある感じ。実際、海辺や街中でゴミ拾いをしている人を何人も見かけて「おぉ」と感心してしまった。


「台湾」の文字をよく見るのも新鮮な驚きだった。台湾小吃、台湾夜市といった看板のレストラン、台湾製の酒などを売る店、台湾製品のお土産物屋もあった。メインランドにあって、この地においては、台湾のブランドイメージは上々なようである。*1



その一方で、日本のブランドはホトンド見ることが無かった。Walmartやマクドナルド、スタバといった外資チェーンはよく見かけたが、セブンイレブンやアサヒ、キリンといった名前を目にすることはできなかった。味千ラーメン*2はあったけど、むしろ中国国内の独自ブランドがよく目についた。


タクシーの初乗りは8元で3キロまで。以降1キロ毎に1元追加となる。レストランで普通の食事をすると15元から20元ぐらい。70分のマッサージが60元ほど。香港のそれと比べると半分〜3分の2ぐらい。日本の物価水準と比べるとかなりの割安感がある。それでも生活水準は低くなく*3福建省というのは豊かな省なんだな、というのが体感できる。


ダウンタウンは賑やかで活気がある。屋台ではシーフードを目の前で調理してくれる。衛生状態はちょっと微妙かもしれないが、こういう雰囲気での食事は気分が高揚して美味しい。



基本的に、中国人の国内旅行の場所、というポジションなんだろうか、外国人はホトンド見かけなかった。日本人はもちろん、韓国人、西洋人も滅多に出会わななかった。日航ホテルに泊まったので、辛うじて宿泊客に1人日本人がいた他は、有名な観光地の土樓で白人を1人見たきりだった。そのせいか、街の中では英語はまず通じず、この辺りは日本の地方都市と似てるなーという感覚。



観光客に人気のGulangyu Island(鼓浪島)に渡るフェリーターミナル、チケットカウンターの前で、オッサンに声をかけられた。「金門島という場所があって、ここは中国の領土か台湾の領土かグレーなんだ。台湾行ってみたいだろ?ビザ無くてもいけるよー。」と大声で囁いてくる。後で調べてみると、ここは一応入出国のゲートがあって、正式には国外に出る手続きになるらしい。だが、実質的には、現場レベルでは、そこそこ自由に行き来できるようだ。


以前、授業で「中国は広い。北京や上海の大都市だけに着目するのは、ビジネスチャンスを自らかなり狭めることになる」というような事を習った。今回、この街を訪れて、少しだけその意味が理解できたような気がする。


ちょっと考えれば当然で、例えば道産子と大阪人と九州男児は全くキャラも違えば、風習、文化も違う。日本企業にとって、国内マーケットを見た時に自身が最適なセグメントを選択したり、競合が少ない地域でビジネスを行なうというのは普通のことである。その延長で考えたとき、まして国土的にも人口的にも大国である中国をや、ということである。可能性が上海、北京、深センだけ、というのは惜しいのだ。地方都市で中国の別の顔を垣間見たことで、これが少し腹に落ちた気がする。


もちろん、言うは易く行うは難し、であり、日本企業が中国や外国で、地域特性に合わせた、もしくは、地方をターゲットにしたビジネスを行うには、組織や人の問題、情報が少ないことによる不確実性、経営のリスク感度など多々課題はあるだろうから、物事はそんな単純ではないのだけど。


実は今回は、妻の誕生日でそのお祝いの旅行として訪れたのだけど、なんだかんだで随分妻のマンダリンに助けられてしまった。ちょっとだけ(?)、マンダリン学習に対する意欲も向上した旅となった*4。香港にいるこの間の時間は、人生において間違いなく稀有のチャンスであるので、地の利や経験、環境を活かして、これからも、時間の許す限り新しい世界を見てみたいなーと思いを新たにした旅だった。

*1:他都市で日本のブランドでも受け入れる土壌があるのを見てたりするので、その演繹では、ひょっとして当然の帰結?

*2:現地向けに味をカスタマイズした日本風料理を提供するレストランの代表角。全ての日本人を海原雄山に変えてしまう破壊力のあるお店。

*3:PPPで測れば日本の田舎と比べてもそんなに差は開かないんじゃないだろうか

*4:身の回りにマンダリン使いが結構いて、配偶者がネイティブにも関わらず「ビールを持ってきてください」ぐらいしかマンダリンを話せない事にもちょっとずつ危機感を抱いてきた(笑)