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香港の旅行代理店の価格戦略

厦門旅行

厦門(アモイ)、というのは、香港から飛行機で1時間ほどの場所だ。中国(PRC)と台湾(ROC)の境界でPRC側、といえばイメージがつきやすいかもしれない。



6月28日は妻の誕生日である。当初は結婚関係のイベントを上海で予定していたのだが、親戚の別のイベントと被ってしまったので、急遽、中国のメインランド旅行に切り替えることになり、そんないきさつで、厦門旅行を計画することになった。

事前調査

旅行を企画するにあたり、ツアーで行く場合と個人手配で行く場合のざっくりとした費用感を調べることにした。その結果、ツアーの場合1人あたりHKD1,800、個人で全て手配するとHKD2,700ぐらいの金額となることがわかった。

ツアーのパンフレットにはHKD800から、と書いてあったんだけど、電話で聞いたところ空港利用税だの繁忙期の割増だのでHKD1,800ということだった。これは3泊4日の日程で、往復航空券、ホテル代、観光ツアーがついての料金である。

一方、自分で全て調達した場合、航空機がLCCで往復HKD1,500、ホテルが3泊でHKD1,200、合計で1人あたりHKD2,700ほどだ。

ツアーと個人の差額はギフトショップに無理やり連れて行かれることなどによるマージンだろうと理解していた。*1

旅行代理店にて

これらの情報を元に、休日に妻と一緒に旅行代理店に向かった。ところが、旅行代理店の個別カウンターで色々と驚いてしまった。目の前で身に覚えのない料金が次々積増されたためだ。

  • 保険料(HKD200)
  • ガイドに払うチップ(1日HKD60、合計HKD240)
  • 市内観光の料金(合計 RMB450)

旅行ツアーで、市内観光が実は有料で別料金、というのにはビックリした。行き先はおよそ10箇所ぐらいリストになっていて、ガイドがその中の3〜4つを状況に応じて選ぶそうだ。観光地に応じて料金が決まっている。これらの料金は現地でRMB人民元)で支払う必要がある。

なんだかんだで、これらを含めると自分でアレンジするのと大差ない、というか自分アレンジの方がお得な金額になったので、我々は結局何も申し込まずにすごすごを店を後にしたのだった。

旅行代理店の価格戦略

とはいえ、この香港の旅行代理店の価格設定について「悪質である」と一言で片付けるには惜しい、と思い彼らの戦略を少し分析してみることにした。すると、3つほどポイントが浮かび上がってきた。

ポイント1: ぱっと見の価格を安く見せる

外出しできるものは全て出して、純粋な費用のみを提示することで割安感を誘う。顧客が格安航空券などと比較しても、簡単にはそこで選からは落ちないようにしている。実際に我々も両者比較していたにも関わらず、旅行代理店に足を運んでしまった。

添乗員へのチップを外出しにしつつも、万が一(サービスがヒドイなどの理由で)払わないということが無いように、申込時に集金する辺りがかなり涙ぐましい、というかちゃっかりしている。

ポイント2: 集団行動の制約

ツアーで厦門に行く人は、その主目的は疑いようもなく観光であるため、多くの人は到着後は(有料)観光ツアーに参加するだろう。その意味でここのパートが売れない可能性は低い。

そして、注目は、旅行ツアーは集団行動であるという点にある。この場合、例えば「料金が高い」という理由で行きたく無い場所があったとしても、ホトンド強制的に全員が有料ツアーに参加させられてしまう。

しかもしかも、ちゃっかり支払い通貨が人民元になっているのも見逃せない。現在のレートだとHKD1.25 = RMB1ぐらいなので、見た目よりも25%増しで料金を払わされるのである。

ポイント3: サンクコストの罠

日本でもそうだと思うが、休日の旅行代理店は大体どこも混み合っている。カウンターにたどり着くまでにカードを引いて、それなりの時間待つ必要がある。そうして、申し込む気満々で受付カウンターについたところで、割増料金が提示されるのである。

長時間の順番待ちに加え、事前調査にエネルギーを使って、やっと最後の意思決定フェーズにたどり着いているので、不合理な料金設定を目の前にしても、心理的に「まぁ、いっか、面倒くさいし…。」という気になってしまうのだ。まさにサンクコストの罠といえよう。

まとめ

ということで、今回の経験で、香港の旅行代理店というのは消費者の混乱に付け込んで価格設定している典型的な業界であることがよく分かった。ちなみに、この手の価格設定をしている、その他の代表的な業界に携帯電話業界がある。「ホワイトプラン980円」を胸にお店に出向いても、事務手数料/ユニバーサルアクセス料/パケットなんちゃらプランetc...にやられて当初の目論見からは程遠い値段になるのには理由があるのだ。

なぜ香港の旅行代理店ではこんな価格設定になっているのか、明朗会計な旅行代理店が出てきたらウケるか、なんていうこの先を考えてみると、もっと面白いかもしれない。

*1:ちなみに、妻によると、中国(メインランド)のツアーでは「ここで誰かが何かを買わない限り出発しない。観光の時間が無くなって損をするのはあなた達である」と脅迫されることもあるらしい