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Perception is more important than reality

今回は(も?)完全に妄想ネタです。


仕事ができる人は必ず出世するか?


という問があったとします。はたして、みなさんはどう答えるでしょうか?おそらくほとんどの人は「残念ながらNo」と回答するのではないでしょうか(妄想1)。

ところが、一方で


仕事ができる人は出世すべきか?


という質問に対しては多くの人が「Yes」と答えるでしょう(妄想2)。はたして、この差はいったいどこからくるのでしょうか?


現在「Understanding Consumers」という授業を受けています。クラスの中で教授が繰り返し述べているコンセプト、というか行動経済学認知科学かマーケティング理論のどこかから来るルールに「Perception is more important than reality」というのがあります。つまり、意思決定に際して、認知(感じ方、思い込み)というのは現実(事実、データ)に勝るということです。

例をあげて考えてみたいと思います。今、日本では原発の再稼働について、推進派と反対派で激論が交わされています。実際には、全ての原発が停止しているので今のところ反対派が勝利していると言ってもよいでしょう。

推進派の主張は

  • 原発を止めることによる経済損失は○兆円である
  • 原発被害の確率・期待値を考えるとその他の発電の方が実は有害である
  • 事故の被害は、原発の稼動状態によらない(動いていても止まっていても同じ被害が出る)

というような客観的な事実やデータを基にしたものであるようです。

ところが、多くの国民は、3月11日に福島で起こった事故を目の当たりにしており、その印象を拭うことはできません。つまり、感情的に原発に対して恐怖心を抱いており、再稼働することと事故で多大な被害が生じることがリンクしています。

こうなってしまうと、いくら愚直に事実やデータを積み重ねたところで、それを使って認知を変えることができなければ、人々の心には響きません。なぜなら認知は事実に勝るためです。結果として多く人は原発を再稼働させることを容認することができず、全ての原発が停止するという事態になっているのです。


冒頭の質問に戻ると、評価者は必ずしも事実・データに基づいて部下を評価していない、というのが一つの考えられる答えといえそうです。「こいつは仕事ができそうだ」という認知に基づいて部下を評価しているのであれば、真に仕事ができる人が出世するとは限りません。一方で、そのような評価者も悪気があるわけではありません。なぜなら、多くの人が仕事ができる人が出世すべきだと考えているからです。世の中捨てたもんでもありませんね。

では、更に一歩話を進めて、次の問を考えてみたいと思います。仮に、完璧な評価制度があったとして、仕事の能力を正確に測ることができ、それを基に昇進を決める組織があったら、そのような組織は、そうでない組織に比べ、より高いパフォーマンス(例えば売上や利益)をあげることができるでしょうか?

何だか、哲学めいた難解な質問に見えます。この問に答えるために、やや遠回りですが、日本人同級生のコンサルタントにある質問をしたときのことを振り返ってみたいと思います。あるとき、プロのコンサルタントという職業の人はクライアントに対しA、Bどちらの提案を持っていくものなのか、ということを聞いてみたことがあります。
A:(嗜好にあっている、短絡的に利益がでるなどの理由で)クライアントは喜ぶが、その実、最善とはいえない提案
B:クライアントは拒否反応を示すが、その実、データや事実の積み重ねから最善といえる提案

彼の答えはクライアントを教育・説得することを前提にBということでした。今回のコンテキストに沿って書き下すと、クライアントの認知、受け止め方を変えることを試みつつ、真に重要といえる案を勧めるということです。

この1つの例に対して再び妄想を使って拡大解釈を施すと、やはり頼るべきところは、認知ではなく、データや事実。なので、完璧な評価制度がある会社はおそらく高いパフォーマンスをあげるハズであると結論付けることができそうです。

ただし、現実世界には残念ながらそんな制度は存在しないので、程度の差こそあれ、どんな組織でも仕事ができそうな印象を与える人が出世します。偉くなると責任も増えるので出世したくないという人もいますが、ある意味では仕事をうまくこなしている印象を与えることはより重要といえるかもしれませんね。

Understanding Consumersの授業で習ったコンセプトを基に、こんな図を描いてみて、かつ、出世というものの特性を考慮しつつ、自分が今どこにいるのかをプロットし、見つめなおすことで、今後のキャリアゴールをどう設定するか役立つんじゃないかと思った(実力を磨くのか、魅せ方や政治を学ぶのか)、というのが今回のオチでした。