シンガにするか、香港にするか、それが問題だ

昨日シンガポールのNUSのMBAに通うkosu0621さんが香港にやって来た。彼の旅の目的は、シンガポールという国を見つめなおすキッカケとして、外である香港からそこを眺めるというものだそうだ。香港で生活する自分もkosuさんの気持ちはよくわかる気がする。外にでることで、中の価値を改めて発見できることは、経験則的に極めて妥当な事実に見えるからだ。

舛添要一という政治家が前にテレビで「日本のことを知るには外国に出る必要がある」と言っていたが、そのとおりだと思う。外国にでると、日本というものをそれまでとは比べ物にならないぐらい意識するようになる。日本人が集まる会合で「日本の未来は危うい」なんていうテーマが語られないことはほとんどない。

自分が受験生だったころ、A予備校のカウンセラーOさんと世間話をしていた時のこと。Oさんによると、アジアのMBAを目指す受験生はそこそこの数でいるとのこと。ただし、その対象は結構な割合で香港ではなく、シンガポールとなるらしい。最大の理由の一つは「英語が通じること」だそうだ。一般的に、日本人にとって、シンガポールに比べて香港はあまり英語が通じないイメージがあるらしい。あるらしい、なんて人ごとみたいに言っているが、実際に自分もそう思っていた。

それでは実際のところは、どうか。ーーー結論を言えば、もしあなたがアメリカ人(つまり、漢字も読めないし、英語しか話せない)だったとしても、香港で生活するのにほとんど不自由を感じることはないだろう。実際に英語しか話せないが、既に香港に10年以上住んでいるというクラスメートもいる。純ドメの英語力の日本人にとっては、英語が通じる、通じないという議論をすること自体がややおこがましいかもしれない。

いくつか例をあげたい。香港の大学は、実は全て英語で授業が行われている。教科書も英語。なので、大学卒業した人はネイティブと対峙しても問題ないレベルで英語を操る。マクドナルトや吉野家のレジのおばちゃんも英語を話す(ペラペラではないが、注文を受けることを妨げることはない)。公共機関である役所や空港、ユーティリティ関係、MTRの係員などもみんな英語を使う。イベント、シンポジウムなどでもほとんどの場合公用語は英語。英語のテレビ番組があり、多くの香港人はフィリピン人メイド(英語ネイティブ)を雇っている。図書館に行けば半分以上は英語の文献。街には西洋人が溢れる。

たしかに、どローカルなお店で食事をしたり、いくつかのタクシー、ミニバスにのって田舎に行ったりすると広東語しか通じない場合もあるが、おおよそ生活に支障があるというレベルではないと思う。



最近は随分これがあたり前だと思ってきたが、実はこれって(今の)日本の基準で考えるとスゴイことだ。英語で注文できるマクドナルトや吉野家が日本に何軒あるだろうか?洋書を所蔵する図書館は?イベントを英語でやって普通の市民が集まる?街で外国人が普通に英語で談笑している場面がごくごく普通の日常風景というのは想像できるだろうか?

英語という観点では、香港は日本の遥か先にいると思って間違いない。ちなみに、これは日本がダメだと言っているわけではない。日本だって受験が変わるなどのキッカケで、今後10〜15年ぐらいで、一気呵成に英語人口が増えて上記のような状態になるだろうと個人的には予想している。

ここで強調したいことは「英語」という観点でシンガと香港を比べてシンガを選択するというのは、本当に勿体ないということだ。シンガはとてもよい国であることに間違いはないが、一方で香港も負けず劣らず、面白い側面を持っている。ので、今後アジアのMBA、いやMBAじゃなくてもアジアに留学というのであれば、シンガポールだけではなく、是非香港という都市にも目を向けてみてほしい。できれば、kosuさんのように一回ここを訪れて、その勢い、活気を感じてみてもらいたい。そうすれば「英語が通じる」に加え、必ずそれ以上の発見があるはずだ。