ITSBCC その2

ケースコンペについて

この辺で、ケースコンペについて説明しておこうと思う。

  • 正式名称 International Tech Strategy Business Case Competition
  • 主催がBoston UniversityでEricssonがスポンサー
  • 今年で7回目。招待制で世界中の16のビジネススクールMBA学生が参加
    • HKUSTの他は、Harvard, Tuck(Dartmouth), Berkeley, Fuqua(Duke) そして Saïd(University of Oxford)など
  • 4人以内のチーム編成がルールで、プレゼンの24時間前にケースが渡され、よーいどんで準備をはじめる形式
  • 賞金付きで、1等賞金はUSD25,000。

詳しくはオフィシャルサイト参照。

自分はタダでBostonに行けそうだ(旅費はMBAOの負担。ただし1クレジット消費するので実質的には自己負担)という安易な理由と、テーマがTechnologyなので自分のバックグラウンドを活かせるのでは、と期待を抱きエントリーすることにした。欧米スクールからみたアジア・中国ビジネスを知りたいというのも隠れ要因の一つ。ちなみに、チームメイトは「勝つため(経験+賞金)」とか「Internshipを獲得するため」なんて理由で参加しているようだった。

ボストン2日目(現地時間3月29日) 朝〜夕方

AM7:00起床。朝はトラブルから始まった。

何かアメリカっぽいんだけど、シャワーでお湯が出ない。というか、正しくはお湯はでるんだけど、温度が非常に低い。冬のプールみたいな感じ。とてもじゃないがシャワーどころではない。8:00にロビー集合で朝食を食べることになっていて、部屋はMとの相部屋のため、自分がもたもたしているとMがシャワーを浴びる時間が無くなってしまう。ということで、気合で「ばばばー」と済ませる。死ぬかと思うほど冷たかった。水シャワーは香港で生活を始めた時に1回だけ経験したが、その時以来だった。ちなみに、その後Mもトライしたが彼はあっけなくギブアップ。

ということで、朝食に行くことに。朝食はホテルに付属する日本食レストラン。その名もKARAOKE。店員が広東語で話をしていたので、日本人経営ではないらしい。唯一喋れる広東語「じょうさーん(おはよう)」を試してみようかと思ったが、非関西人がうさんくさい関西弁を喋るようなものなんじゃないかという考えが脳裏をかすめ、思いとどまる。朝食メニューに納豆だの味噌汁だのの和食は一切なく、東横イン以上、普通のビジネスホテル未満といった感じの朝食。ただしコーヒーは美味しい。全般的にそうだが、アメリカのコーヒーはさすがというか、どこに行ってもハズレを引く可能性はかなり少ない。

帰り際にフロントによってシャワーの温度の件を聞くと「ピークタイムだから」という衝撃的な回答が。これには、SもAも一様に「does not make any sense」を連発していた。ちなみにその後4sqでホテルにチェックインしたところ、TIPSとしてこの件が出ていた。後の祭りだけど。翌日からは毎朝6:00にシャワーを浴びることを固く決意する。

その後部屋にもどりMはシャワーを(ピークタイム終了)、それ以外のメンバーはSとAが泊まる部屋に集合。事前準備作業にとりかかった。



SとAの部屋。我々の部屋の倍の広さがある。準備用?


ちなみに、我々のチームは2月末から週一ベースでミーティングを重ね、それまでにそこそこの準備を行なってきていた。

  • 2クレジットクラス、ケースBoot Campをチームで受講
  • 一昨年のケースを題材にプレゼンを組み立て教授陣の前で発表
  • スポンサーのEricsson及びその競合(Huaweiなど)の調査(10Kを読んだり、最新ニュースのRSSを購読、Network Societyなどの重要コンセプトの勉強)しチーム内で共有
  • 昨年のUSTチームへのコンタクトし大会の様子や心構えを共有してもらう
  • 過去の入賞チームのビデオをみてその傾向を分析
  • 戦略論の教授にコーチになってもらい随時アドバイスをもらう
  • Ericssonの事業分析を基に今年出題されるであろうテーマを6つ予想しそれぞれのテーマについて予めパワポを作成

渡米直前は、Final Examをケースコンペ参加に合わせてリスケしてもらった都合で、期末テストが集中するなか、6つのテーマを設定し直し一晩で仕上げるという無茶なこともやっていた。まぁ実際のところメンバー間で準備の熱の入れようには温度感があって、ラテン系はフリーライダーだという事が自分には印象づく結果となったのは別の話だが。他校のチームは3ヶ月前からケースを使った実践練習を繰り返しているという怪情報もあり、正直戦々恐々としていたことも事実である。

ちょっと話が飛ぶが、この作業をとおして、個人的にはEricssonという会社にとても好印象を抱いた。これが彼らの意図かどうかはわからないが。10Kは正直でセンスもよいし、様々な未来社会、主にNetwork Societyのコンセプトをぶち立てて夢もある。いきいきとした会社であることが手に取るように伝わってくるのである。ちなみに、コンペ期間中に何人ものEricssonの社員やExecutiveにあったが、彼らも皆、本当に魅力的な人たちだった。Ericssonの視点からケースコンペがどう映っていたかは、別の回で改めて記載するつもり。

話を戻すと、前述のとおり準備作業に温度感があったため、リーダのSが改めてこの日に更に準備作業を行おうと宣言したのだ。覚悟はしていたけれどボストンの観光などは夢のまた夢となった。自分はいくつかのテーマのマーケット分析、つまりコンペティタの状況とEricssonのポジションについて整理することとなった。

ややグチなのだけど、正直この割り当てはヒドイ。何気にこれってUSD1Kぐらいの仕事じゃないかと思う。例えばM2M業界のプレイヤーとその売上・利益、マーケットリーダとEricssonの関係なんてちょっと考えただけでゾッとするような調査量である。探せばその道の専門調査会社がこれらを載せたレポートを販売していて、だいたい一分野でUSD3K-5Kぐらいだ。それを数時間で実施するのは無理がある。

MBAではケースメソッドでクラスが組み立てられていることが多いが、そのノリでこういうことを頼んでくるのだ。ケースって、学習目的なので、分析に必要なデータは(都合よく)ケース内に全て揃っているし、ケースからはみ出して、例えばGoogleなんて使って調査しないことが推奨されている。ホントに美味しいどこ取りできるように出来ているわけだ。現実問題として、ケースに書かれているぐらいの状況把握とデータが揃っていれば世の中の経営やコンサルは全く苦労しないのである。驚いたことに、チームメンバーはそのことを理解していなかったのだ。なのでお気軽にこんな注文をつけてしまう。自分が最も熱心に、しかも自分でいうのも何だけど最もまともな資料を渡米前に準備しておきながらこの重たさ。他のチームメイトにはパワポのテンプレート作成をやらせ、自分にはこれというのは、もう何かの罰ゲームなんじゃないかと思った。

とはいえ、人間追い込まれれば何とかなるもので、この手の調査を効率的にやる素晴らしい方法を思いついた。もう少し効果を試したいのと、大見得切って発表するほどのものでもないので、方法については触れずにおくが、ともかくM2MとOSS/BSS業界のマーケット分析は何とか終わらせることができた。あとは、これらの準備テーマから本番のケースが出題されるのを祈るのみである。

夕方〜公式Reception

18:30から公式ReceptionがBUのSchool of Managementキャンパスで行われた。キャンパスツアーに始まり、晩餐会に続く。この時他のスクールの参加者と初めて顔を合わせたが、何だかみんな賢そうな雰囲気。ちなみに、日本人は自分一人だけだった。



キャンパスに掲揚されていた国旗


ちなみに、写真にあるとおり、キャンパスには参加スクールの所在地の国旗が掲揚されていたのだが、我々HKUST相当として中国国旗が飾られていた。チームメンバーの国籍は、イギリス、スペイン、インド、日本であり、誰も中国人がいないにもかかわらず、中国代表である。香港の旗ではなく中国の旗でというのもあれで、何だか無性に可笑しかった(はい、香港は中国の一部です。一応。)。

その流れでいえば、HKUSTの知名度の低さは残念だった。ほとんどの人が、運営側でさえ、我々を香港大学と勘違いしていた。いや、正しくいえば、香港大学も知らないんだろうけど、香港から来た大学という意味でHong Kong Universityと呼んでいたっぽい。我々はUSTで、という説明を何回したことか…。FTのランキングで6位になったとか10位になったとか浮かれているのはまだまだ身内の一部で、USスクールでは他はせいぜいヨーロッパの一流どころぐらいしか眼中にないんだという現実を思い知ることとなった。

BUのMBAキャンパスは12階建てぐらいで、各階に教室とディスカッション用の小部屋がある。更には建物内にスタバやATMなどもあり、HKUSTとは比べようにもない立派なものだった(ちなみにUSTもビジネススクールの建物を新築中。それができれば比類できるレベルなになるんじゃないかと期待)。

公式Receptionはスクールの最上階にある、歴史のありそうな重厚な部屋で行われた。イメージで言えば、東大の図書館みたいな感じの場所だ(ちょっとした縁で昔入ったことがある)。いわゆる立食形式のパーティーで、英語もダメで人見知りな自分には辛い時間だった。他の参加者からすると、自分は、あんまり喋らないし、おかしな奴だなーと見えていたに違いない。が、まじで、こーゆーの苦手なんですわ(ションボリ)。ただ、これについては、ちょっとだけ克服する方法を思いついたので次のチャンスがあれば、そこから試してみることにしようと思う。



Reception会場の様子


1時間ほど歓談していると、式が始まった。BUのSchool of ManagementのDean、EricssonのHRのトップ(女性)、そしてCEOの挨拶へと続く。この重厚な空間にあって、みんな決まっていてカッコいい。Deanはその歴史を背景に言葉に重みがありつつユーモアを交え歓迎の言葉を述べていた。HRトップは人間的な魅力が全開な感じで、非常にチャーミングな人だった。そしてCEOは本気でオーラが出ていた。Network Societyについて熱く語るその姿は、まさしく世界有数のグローバル企業トップのそれであった。まさかCEO本人が登場するとは思っていなかったので、その時は呆気にとられていたが、今思うとホント贅沢なReceptionだった。



EricssonのCEO Hans Vestberg氏


Reception中にくじ引きでチーム分けが行われた。結果、我々USTはチームDelhiと呼ばれることになった。大会ルールでは、どういうわけかは分からないが、ジャッジにスクール名を明かす事を禁じており、これより最終日の結果発表までの間、この都市名を冠したチーム名で互いを認識し合うことになる。コンペの流れは、16チームを4つのグループに分け予備ラウンドを行い、各グループの勝者がファイナルラウンドに進む。最後に1位〜4位が決定する仕組みだ。我々のチームは主催者BU、UC Berkley、Saïdと同じグループになった。あまりのくじ運が悪さにクラクラきた瞬間である。



くじ引きの結果


(続く)

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