MBAの価値とサンクコスト -MBAは役に立つのか?-

MBA留学をしていていて、ブログを書いている人は、誰しもその期間中に一度は触れることになるだろう、この話題。MBA留学の価値について考えてみたい。

MBAの価値を決めるもの

MBAの価値を考えるには、その評価軸を決める必要がある。例えば、

  • お金に関係するもの
    • 生涯年収(オポチュニティコスト)
    • 給与アップ率
  • 名誉に関わるもの
    • 何となくスゴそう
    • スマートな感じがする
  • 人生を豊かにするもの
    • 英語の運用能力が向上する
    • 見識が広がる
    • 外国人の友人が増える

などが考えられる。

極論を言ってしまえば、どの軸を選ぶか(もしくはそれぞれの評価項目にどう重み付けするか)決めた時点で、評価者にとってMBAに価値があるかどうかはあらかた判別できることになる。

サンクコストとは?

では、評価軸はどうやって決められるのだろうか。私は「サンクコスト」という概念が大きく作用するのではないかと思っている。ので、ちょっと遠回りだが、サンクコストというのは何か見てみることにしたい。

民主党が政権をとった時のことを覚えているだろうか。先の衆議院選挙の争点の一つに八ッ場ダムの継続可否というのがあった。既に巨額の税金を投入し、ある程度進んでしまったダム建設を継続するか、それとも中断するかという議論である。

この議論の中には「たくさんのお金をかけてダム途中まで作ったんだから、最後まで作りきらないともったいない」というものがあった。しかし、八ッ場ダムが本当に無駄なものである(完成後に価値を生み出さない)と仮定すると、更にお金をかけてダムを完成させることは、結果的により無駄なお金を消費することになる。この例の場合、ダムを作るために既に使ったお金のことをサンクコストと呼ぶ。サンクコストを考慮して(もったいないという発想で)事業継続についての意思決定するのはナンセンスというのが経済学のセオリーである。

ここでのポイントは「人は過去に投資した資源(お金や時間)について、それをサンクコストとして認めたがらない傾向にある、すなわち行為を肯定するバイアスが働く」ということだ。民主党に投票しておきながら八ッ場ダム中止はもったいないと感じる人が多いのはその理由である。

MBAに価値はある?

評価軸を決める最も大きな要因は、投下した資源の量だと思う。つまり、MBA留学を経験した人は、往々にしてMBAは価値があるということを、プラスを強調する軸を選びながら「MBAで学べることは意外と現実的だ」とか「クラス自体はあれだけど、ネットワークが広がった」、「英語の能力を高められてうれしい」とかいう形で表現することになる。なぜなら、MBAの経験をサンクコストとして扱いたくないバイアスが働くからだ。

一方で、MBA以外に資源を使った人はMBAに価値がないということを、ネガティブな軸を使いつつ「長い時間遊んでいて、時間の無駄でしょう」とか「変に理屈っぽくなってやな感じ」などと至極真っ当な視点で述べる傾向にある。

まとめ

結論としては、MBAの価値を測る評価軸は色々あって、どれをどのぐらいの重みで選ぶかで価値があるかどうか判断できる。ただし、軸の選び方は(資源を使って)MBAを取得したかしてないかで随分と違いがある。サンクコストの概念を知っている人にはあらかた話の流れとオチが想像できるような内容だったかもですね。