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リスク、リスク、リスク

今日から第4タームが始まった。昨年末の第2タームのふり返りや3タームについてまとめる前にこれを書くのもあれだが、今日の授業で個人的に面白い発見があったのでエントリにまとめておく。


さて、話はストックオプションから始まる。ストックオプションとは将来に自社の株を一定の価格で買う権利のことだ。ストックオプションは会社価値向上のためのインセンティブ設計に用いられる。


例えば、1年後に1800円で株を変える権利というストックオプションがあったとする。今現在の会社の株価が1700円だとすると、権利を付与された人は、将来株価が1800円以上になるように、一生懸命働き、会社の価値を高めることに注力するだろうという論理である。


一方、このストックオプションには別の側面がある。想像してほしい。もし、あなたが権利行使価格1800円のストックオプションを付与された会社のCEOとしよう。事業選択の場面に出くわした場合、あなたは次のA、Bのプロジェクトのどちらを選ぶだろうか。

プロジェクトA
100%の確率で株価が1800円になる

プロジェクトB
50%の確率で株価が1900円に、50%の確率で株価が1700円になる


多くの人はプロジェクトBを選ぶハズだ。50%の確率でストックオプションの権利行使による利益が得られるためだ。一方、プロジェクトAを選んだ場合、CEO個人のインセンティブとしては、ストックオプションによる利益は0となる。


つまり、報酬としてのストックオプションは、経営陣に、つまり会社としての意思決定にリスクを取るような選択をするインセンティブを与えることになるのだ。


なぜ、このことがこんなに自分の心に響いたか、というのは、数日前に予習で役員報酬について調べていたとき、偶然、2005年に発表された某社のプレスリリースを見たためだ。

 当社が導入する「株式報酬型ストックオプション」は、株価に連動した繰延報酬として、株価上昇のメリットのみならず下落リスクをも株主と共有するものであり、役員報酬の株価連動性を一層高めるものです。
 この結果、当社の新しい役員報酬制度は、以下のようになります。


1.従来型ストックオプション ・権利行使価額は時価を基準に決定し、権利行使制限期間を2年間に設定することにより、中長期的な企業価値向上へのインセンティブとして付与


2.株式報酬型ストックオプション ・権利行使価額を1株あたり1円として、権利行使制限期間を1年間に設定することにより、株価に連動した繰延べ報酬として付与


某社がリスクについてどういう方針で経営してきて、それをどう変えようとしたのか。なぜこのタイミングでこういう舵を切ったのか。時は2005年、IT関連の某社は過去最高益を記録していた。その後の某コンペティタの拡大路線に対比して、堅実路線を貫く某社の方針はこんなところから始まっていたのかもしれない。