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「アプローチの方法」が売れる時代

「cos75°を求めなさい」という問題を見た時に「え、まじ?そんな中途半端な角度で求められるの?何か重要な公式覚え忘れたかなぁ〜」と思う人は私と同じ普通の人だと思います。数学が得意な人は「75°なんて手計算で求められるハズない。ということは、30°や45°など求められるものを使う形に変形できるだろう」と一歩目のアプローチからして違うわけです。





どうやって問題にアプローチしたらよいかということは、大抵の数学の問題集には書いてありません。問題と答えだけ書いてあるのが普通でしょう。でも、問題を見た時に、賢い人がどう考えるのかが書いてある参考書があると売れると思いませんか?


賢人のプロセスを体系化したものはフレームワークとか、ITの世界だとパターンと呼ばれています。数学の例だと公式といったところでしょうか。普通の人でも賢い人の成果を使って高品質のアウトプットをだすための仕組みです。ところが、このパターン適用は前述のとおり正しいアプローチ、考え方が無いと難しいのです。


「考え方、アプローチを売る」というのは最近注目されつつあるように思います。有名ブロガーのちきりんさんは「自分のアタマで考えよう」という本を出版していて、それはとても売れているようです。ブログやtwitterの宣伝からの予想ですが(実は読んでいない)、この本の画期的なところは「データ/事実 → ★処理 → 知識/知見」という過程の中で処理の部分に特化していて、そこでフレームワークの紹介だけでは無く、それに伴うアプローチの方法を解説した点だと思われます。


ここ最近、ちょっとした縁で、香港で最も成功したであろう日本人起業家の方に色々学ぶ機会をいただいています。前回お会いしたときに彼は「成功している人、憧れの人を徹底的に真似なさい。そうすれば、少なくともそのレベルまでには行ける」とおっしゃってました。すなわち「成功者の内面の思考方法を外からでも真似することで盗み取れ」というアドバイスなのだと思います。やはり、思考方法を学ぶことは成功に繋がっていると言えそうです。


話が少しそれますが、最近ふと、MBAでの授業に価値があるのは、この思考の過程が見えるからではないかという気がしてきました。もちろん、事実やデータ、フレームワークを知識としても学ぶわけですが、一方でクラスのかなり多くの時間をディスカッションに割り当てています。このディスカッションは、まさにクラスメートの思考の過程が見える瞬間でもあります。そして、英語さえできれば、その中に主体的に参加して、自分のやり方にフィードバックを得ることもできます。


自分の足元を見ると、IT業界は、クラウドとかオフショア開発の流行により、どんどんコモディティ化が進んでいます。結果として、みんなが上流工程を目指すようになってきました。この上流工程は元来、思考の方法がモノをいう領域だったはずです。ところが、今の「考え方が売れ」かつ「MBAが量産されている」時代、その工程までも徐々にコモディティ化してきているように感じられます。恐ろしい話です。


私が中高生の時は、こんな急速に「英語=生きてゆくために必要」が成立するとは1ミクロンも想定していませんでした(ちなみにですが、中国語も既に世界語の仲間入りしたように見えます)。経験的に変化はいつも予想よりずっと速く訪れることを学びました。この先、例えばITで生き残っていくためには一体どういう差別化が必要なのか、頭が痛い問題です。